私たちは電車やバス、病院、役所など、様々な場面で待たされ、待ち時間をやり過ごすために本を読んだり、スマートフォンでSNSやネットニュースを見たりします。
このような行動は、私たちが「何もせずに待つこと」を「つまらない」「楽しくない」と考えており、「何もしないこと」を避けるために取っていると考えられます。実際に、先行研究では、人が何もせずに過ごすことを苦痛に感じ、それを避けるために電気ショックなどの不快な刺激すら求めてしまうことが指摘されています(Wilson et al., 2014)。
ただし、これまでの研究で、やる気の推測は不正確であると指摘されており(Murayama et al., 2016)、金銭的報酬などのわかりやすい手がかりが無い状態では、正確なやる気の予測が難しいと考えられます(Murayama, 2022)。そのため、ただ待つことは読書やネットサーフィンなど他の活動に比べてやる気や楽しさを予測する手がかりが少なく、待つことを過度につまらないと予測すると仮説をたてました。
Hatano, A., Ogulmus, C., Shigemasu, H., & Murayama, K. (2022). Thinking about thinking: People underestimate how enjoyable and engaging just waiting is. Journal of Experimental Psychology: General. Advance online publication. https://doi.org/10.1037/xge0001255
【参考文献】
Murayama, K. (2022). A reward-learning framework of knowledge acquisition: An integrated account of curiosity, interest, and intrinsicextrinsic rewards. Psychological Review. Advance online publication. https://doi.org/10.1037/rev0000349
Murayama, K., Kitagami, S., Tanaka, A., & Raw, J. A. L. (2016). People’s naivet about how extrinsic rewards influence intrinsic motivation. Motivation Science, 2(3), 138-142. https://doi.org/10.1037/mot0000040
Wilson, T. D., Reinhard, D. A., Westgate, E. C., Gilbert, D. T., Ellerbeck, N., Hahn, C., Brown, C. L., & Shaked, A. (2014). Just think: The challenges of the disengaged mind. Science, 345(6192), 75-77. https://doi.org/10.1126/science.1250830