株式会社デジレントサーブ

メイン事業はＰＣとモバイルサイトのコンサルティングと受託制作開発です。もともとＰＣとモバイルサイト両方が連動する形のサイト構築を主にやっており、中でもモバイルサイトの開発技術は、私の前職である株式会社ブイキューブ社在籍時からも実績があったことから、全事業の８割を占めるご依頼をいただいております。
モバイルサイト開発については、キャリアのメニューからアクセスできるいわゆる公式サイトと、公式のメニューに登録されていない勝手サイトと呼ばれる一般サイトの構築コンサルティングも行なっています。これらで、260件ほどの開発実績があります。１社から複数の案件をご依頼されることも多く、案件数は非常に増えてきていますね。
また、元々WEBマーケティング企画提案を軸としていた経緯もあり、プロモーションやブランディング、技術コンサルティングのご依頼も増えてきています。

弊社では過去からのシステム開発実績が豊富にあり、今ではプログラムをゼロから開発することは少なくなってきています。特にモバイルのソリューションで使用できるプログラムは、カスタマイズすればＰＣサイトにも十分流用できるので、両方を併用した形のシステム開発が可能なのです。こういった技術的資産と企画制作を自社一社で持っている会社は業界でもかなり少なく、そこが弊社の強みだといえます。

そうですね。モバイルサイトでは、システム開発だけでなく要件定義もかなり慣れているといえます。どのような案件も初見で行なうことはほとんどなく、ノウハウがあることで開発工数も短縮することができます。それによって、他社にゼロから始める受託開発を依頼するよりも６〜７割のコストと時間で開発することができるのです。

特にモバイルサイト開発の企画や技術経験があるスタッフを社内で抱えているところは、業界でも１０社程度かと感じます。典型的な例で、あるコンペで弊社のクライアントでもあった会社に負けたことがありました。ところがその案件のメインがモバイルだったので、結局その会社から弊社が開発依頼を受けることになったのです（笑）。

私が企画営業出身ということもあり、社内のプログラマーも極力打ち合わせに参加させるようにしています。プログラマーも成果をコミットメントして、クライアント様と一緒に仕事をするという気持ちを持つことを大切にしていますね。弊社の事業は受託開発業ではなく、サービス業であるということを強く意識しています。

最初に入った会社では、基幹系パッケージシステムの営業を担当していました。当時、大手企業のシステム保守などの営業をしていましたが、保守だけで億単位の仕事になるのですね。仕事の内容は、単純なインストールや、トラブルがあったときに自社ソフトが影響しているのかを確認するくらいの仕事でしたが、何十万台と受注することで、億という単位になるのです。
そのころにＪＡＶＡを代表としたWEB技術が出始めて、単純にこれはすごいと思いました。つまり今まで何億円もかけていたインストール作業が、WEBがあれば必要がなくなる。基本的にはブラウザに読み込むための技術がすでに搭載されているので、それをパソコンで開けばアプリケーションが使えるということ、これは本当にすごいと思いました。そのとき、『ＴＣＯ（Total Cost of Ownership）、トータルコストを下げる』ということが事業として成り立つということを感じました。この考え方は、現在の事業でも軸となっており、ネット業界ではめずらしくＴＣＯ視点を持った提案ができることが、弊社の特徴にもなっています。

　その後、フリーとなってＷＥＢマーケティング・アプリケーションの企画設計などを行い、さらに転職して株式会社ブイキューブに入社しました。ブイキューブでは現在と同じような事業を役員として担当していました。独立に踏み切ったのは、前職でテレビ会議システム事業を本業化するにあたって、その当時のWEBソリューション事業を子会社化し、そこの社長をやらないかと言っていただいたことがきっかけでした。大変有難いお言葉でしたが、そのときに、元々本業としていたPC+モバイルのマーケティングやサイト制作開発支援ができる事業をもっと自由に自分でやりたいと思ったのです。当時のスタッフが心配してか弊社のスタッフとして集まってくれたことは嬉しかったです。

そして2005年2月に株式会社デジレントサーブを設立しました。メンバーは前職での部下ばかりなので、私のやり方をわかってくれて、非常にやりやすい環境です。モバイル制作開発に創業当初からかかわれたのも、彼らのおかげだと思っています。

弊社のシステム開発は、早く安く作るだけならものすごく簡単にできるのです。しかし、その後の体制や組織変更にともなった改変ができるような柔軟性をもって、ある程度先を見越した設計にしないと、何か変化が起こるたびに今作ったものを壊して、またゼロから作ることを繰り返してしまいます。また、逆にプロモーションやブランディングといったマーケティング活動には「スピード」が求められます。同じWEBソリューションでも目的が違えば、設計思想も違うのは当然という考え方です。
そんな中でもTCO的なトータルコスト視点は、弊社が顧客サイドに立ってサービス提供をする上で重要な弊社のポリシーです。またPC＋モバイルの一元窓口を弊社が担うことで、現状PCサイトとモバイルサイトを二社、三社にまたがってハンドリングされているクライアントの管理コストを大幅に下げることが実現できています。窓口が複数社にまたがることで、打ち合わせや連絡や確認事項、仕様の調整やクリエイティブの統一、さらにはプロモーション管理やシステムの連携、運用、サーバー設置場所など、共有・調整する箇所が膨大になり、クライアントのWEBプロジェクトに大きな負担になっているのを目の当たりにしてきました。弊社は最も改善しやすく、TCO効果の上がる一元窓口を担える企画や対応を今後も行い、モバイル開発を自社で行った多くの実績がある弊社でなければできないTCOスタイルとして今後も提供し続けます。

お客様にはぜひ弊社を使っていただきたいですし、弊社も売上をあげなければならないですが、ひとつ良い仕事をしていればまた次の仕事につながると考えているほうなので、お客様にとっても有益になることは遠慮なく言わせてもらっています。

実は創業以来、一社も取引が終わっているお客様がいないのです。起業してよかったと思うのはそこですね。少なくとも他社に比べて対応が勝っているという間接的な評価だと思っています。
単なるシステム開発だけの依頼ではなく、こういう事業をやりたいのでプロジェクトに一緒に入って欲しいとか、他社が行なうサーバーの入替えに立会って欲しいなど、立会人的にお声がかかるということで、信頼されていないとできない仕事を任されることが増えて、本当にうれしいです。

「Flex Frame」とは、自社で保有しているプログラムを組み合わせたパッケージ（＝フレームワーク）をライセンス費無償で提供する事業の総称です。ＥＣサイトやSNS、メール配信等に必要な機能、システムをフレームワーク化し、基本機能は無償で提供しながら、その分カスタマイズの投資にシフトしていただくことで、より満足度の高いＥビジネスインフラの提供を目指しているものです。

　弊社のようなコンサルティング系の仕事だと、目に見える提案がなかなかしづらかったり、時間がかかったりします。そこをイメージ化する目的で、過去に作った技術的資産をパッケージングして提供するようにしたのが最初です。基本性能は無償で提供していますが、それだけでも機能はかなり充実しています。実際、サイトデザインをご用意いただいて弊社のシステムを組み込むと、もうそれで充分というお客様も結構いらっしゃいます。　　
それで、ご満足いただければそこから派生して次につながるので、窓口としてこういったものをご提供していこうという考え方ですね。

私が、新卒入社した会社で扱っていたパッケージが、ミドルウエアやAPI思想に基づいていたことも影響されています。あるソフトで実現したいことがある場合に、ゼロから作るとコストかかるので、コア部分はすでにあるものを利用し、そこからカスタマイズしていくことで、最終的な目的に近いものを作るということです。この考え方は、今までのネット業界にはあまり無かったのですが、“TCOの削減”という観点から私自身は非常に共感をし、ネット業界でもこの思想は広めるべきだと考えています。

例えば、ＥコマースでＰＣのフラッシュサイトに対応したいという声は多いですね。現在、Ｅコマース用のパッケージでフラッシュに対応しているものはなく、通常はすべて受託開発を行っているのです。弊社では、パッケージとデザインは別という考えなので、フラッシュで作ったサイトをシステム側に組み込むことができるのです。そうすると外見上はかなり自由でいながら、裏では弊社がパッケージ化したシステムが動いているというということができます。

このパッケージの販売は、07年6月くらいから既存のお客様を中心に紹介し、12月にリリースしたのですが、すでに20件のご依頼をいただいています。お客様からは「ちょうどやりたかった」という声が多く、また、モバイルでＥコマースができるパッケージがほとんどなかったことから、かなりのご好評をいただいています。携帯電話の端末は現在400機種くらいあり、ブラウザも様々です。通常は一番低いスペックの機種に合わせてサイトデザインを行なうのですが、弊社では機種ごとに合わせて作れるので、見栄えの面でも高い評価をいただいています。

繰り返しになってしまいますが、弊社の一番の売りは、多くのプロジェクト実績をベースにした、ＰＣとモバイルの企画制作開発を一元化して受けられるというところです。この点は弊社ほどモバイルの開発実績が多数ないと、他社にはできない部分として自信を持っています。お客様にこういうことをネットでやりたいという素案をいただければ、ＰＣとモバイル両方を企画、技術の両サイドで対応できます。弊社がＰＣとモバイル両方のハンドリングを行なうことで、担当者様の負担も大幅に軽減することができる。今後もそういう組み方を積極的にご提案していきたいと思っていますね。

ベースであるシステム開発を自社でという部分は特に、こだわっていきたいと思っていますが、どちらかというと弊社の事業はサービス業やエージェント業であるという認識でおりますので、やはり企画から制作開発まで、WEBソリューションは弊社にお任せくださいとこの先も自信を持って提案し続けられる企業体でありたいと思っています。FlexFrameや自社メディアの運営なども弊社TCO提案の中に組み込むための１要素であり、おのおのの販売自体を目的とはしておりません。

これだけスピードの速い世の中では「利益増」と「コスト削減」は、以前に増して、とても強いニーズを感じます。どんなに時代が変わろうが、営利企業が追求する２大テーマには代わりありません。そこにおいてWEBで実現するプロダクションとして存在していければいいと考えています。