株式会社吉野工房

弊社は先代の父がデザイナーの個人事業として創業した会社でして、今年で創業から50年目となります。パッケージやポスターのデザインをやっていましたが、なかなか恒常的に成り立たせるのが難しいということで、基盤を安定させるために文字の装飾などのレタリングを始め、出版用判子を制作する仕事をやっていました。今もそうなのですが、教育関係の出版社とご縁があり、創業当時も学習参考書の出版などの仕事が多くありました。表にでるよりも制作物の後方支援がメインで、クリエイティブ関連の仕事を断片的にサポートするというビジネスです。

私は大学入った直後から会社を手伝いました。そこで初めての仕事が人員の調達です。経営環境の悪化で全員退職という道をとらざるを得なくなり、アルバイトでも雇わなければ経営が立ち行かないような状態でしたので、私の同級生を集めてくるという仕事でした。その後、1、2か月の間に体制を取り直し、軌道に戻せることができ、私は大学に通いながら空いてる時はお手伝いで週に2，3回働いていました。そして、大学卒業後すぐに入社したという流れです。

30代で役員になりました。その頃にはクライアント数も増えてきており、経営は安定しておりました。その時から、弊社ではアメリカ式のコンピューターを使ったデータ管理と出版システムを取り入れました。これは日本では全然普及していませんでしたが、今後必ず必要になると考え、先導を切って取り入れました。最初はコンピューターの必要性が全く理解されなかったのですが、バブル崩壊後には企業のコスト削減が急務となり、データ再利用ができ、管理も効率化できるシステムを評価していただいてだんだんと利用頂く会社が増えてきました。

アメリカで業種変換を短期的に図ることで大きく成長する事例が多くあることを知り、弊社のビジネスも印刷にとらわれることなく、出版から印刷、システムや管理に至るまでトータルマネジメントを提供し始めました。機材、人員、技術者を変えることや、インフラや価格帯の変更、それら受発注の条件の変更まですべて自分で取り組んできました。

それからは川上のビジネスを多く扱うようになってきました。出版社だけでなく一般企業に対しても企画ご提案をさせて頂き、取材編集ができるスタッフ、グラフィックデザイナー、ウェブコンテンツプログラマー、ライター、営業部がディレクションをしながら企業管理まで含めてワンストップでご提供させていただいています。クライアント数はここ数年で増えてきているように感じます。クライアントは全てを一括で預けることにより、管理業務が大幅に軽減されます。そうすることで、現在大手が進めている本当の意味でのリストラクチャリングが可能になります。このように印刷やデザインを通した労務管理や業務コストの削減がうちのメリットであると考えております。

また、私のBtoCビジネスをやりたいという思いから、教員を目指す人へのセミナーや上級管理職対策講座を始めました。もともと教育系の出版社で出版物を手伝っていた経験もあるので、教育に関する情報は豊富にあり、既存事業とのシナジーを考えた上での展開です。「自分たちで教材を作り、自分たちで講師、開講し、自分たちで集客し、資金回収する」ことを強みにしながら、今後は講座のコンテンツを増やしていこうと思っております。例えば、現職教員向けや一般企業の教育やビジネスコーチングなども考えられます。

BtoBとBtoCのビジネスの両方を両立できるように進めていきます。BtoCのセミナーはBtoBのインフラが生かせるからやっているのであり、シナジーのあるものであると考えています。また、まだまだクリエイティブな部分や、直販の販売方法を持っていないために苦戦しているクライアントが多くあるので、われわれのビジネスを活用して頂くことでお客様にメリットのあるインフラを提供していきたいと考えています。

異業種同士の化学反応を活発にしていくことです。新しい考え方やインフラやプロダクツを世の中に提供していきたい。そして、かかわってくれた方すべてがwin-winとなるようなものを模索していきたいです。

クライアント数は現在の60社から150社くらいを目指します。出版業界にとらわれずに様々な業界に関わっていけたらと考えています。例えば金融や食品、運輸などの他業界どうしをメディアミックスして化学反応を起こす機会を増やしていきたいですね。

今やっているビジネスモデルを世の中に浸透させていきたいです。そして、たくさんの化学反応を起こすお手伝いをすることでネガティブな経済状態を活発にし、皆さんが夢を持てる社会を作りたい。そこから色々なものが生まれていくような土壌を作りたいです。

売上的には現在の２億を２年以内に5億まで伸ばしていけると考えています。人員は現在の20名から35名くらいまで増強し、5億を達成した後は60名で10億まで目指します。売り上げの下支えはビジネスコーチングで安定的に収益化を図り、それを生かしながら新しいタイプのプラットフォームができればいいと思っています。