アソブロック株式会社

弊社は『クリエイティブの力で「変化と刺激」を創り「気付き」を産みだす』というテーマを掲げている制作会社です。
具体的には、幼稚園・保育園の運営支援、企業の採用支援、セールスプロモーション、書籍出版、教育プログラムという五つの事業を行なっています。
仕事の割合は、幼稚園・保育園の運営支援と企業の採用支援で8割くらい。売上的には採用支援で半分くらいですね。

多くのお客様は何かしらの課題を持って弊社に依頼してくれるわけですが、その課題の解決方法に関しては、お客様なりにすでに試み、うまくいかなったというときに弊社に相談に来るわけです。そのときに弊社では解決方法として、ものを作ることによって、課題解決に向けた「変化と刺激」を創り、なおかつ、依頼者に「気付き」を産み出して、自立できるようなお手伝いをしております。

また、ものを作らない場合もあります。幼稚園のお手伝いでよくあることは、先生のやる気がないという課題の解決です。その場合には、マインドの根底から違う刺激を入れるために、職員さんたちを集めて研修会を開くことも行なっています。

私はもともと、大学を出た後に雑誌などで執筆業をしていたのですが、その後、編集をするようになりました。ですが25〜26歳で、雑誌出版社というのは大手広告代理店の子会社なのだと気付いたのです。なので、雑誌業界で何かを表現するのは限界があると思い、編集のスキルを生かして何かできないものかと探していたら、あるカメラマンが、幼稚園の運用支援で頑張っている方を紹介してくれたのです。その方は、保育教材業者のトップセールスマンを15年くらいしていた人だったのですが、自分の売っている商品が本当に子供のためになっているのかという疑問を抱き、独立して自分なりにものづくりをしていた人でした。でも彼はもともと営業出身なので、クリエイティブなところが不得意だった。それで私がお手伝いをすることになり、この会社を作りました。

幼稚園とは中小企業のようなものです。売上が2〜3億円で、園長が社長で、常務と専務がいなくて、職員が皆社員のような組織です。なので、トップダウンが非常に聞きやすいのです。園長先生と気持ちのコミットができれば、比較的自由に表現をさせてもらえるので、やりがいがある。それでけっこうのめりこんでいったのです。

設立時に、採用の事業も始めました。ある人材紹介会社の制作会社コンペで仕事を取ることができたのです。そのときのノウハウが蓄積されたので、今は個別に企業の採用のお手伝いをさせていただいています。

最近は特に、より短い時間で理解させるものを作らないと、表現が成立しなくなってきています。ネットでは瞬時にクリックして、別の情報を検索しにいきますよね。情報に対する瞬時の取捨選択が日常化しているので、そこのハードルを越えなければいけないことが、非常に大変ですね。
幼稚園などはまだコミットが高いのでやりやすいですけど、セールスプロモーションが一番厳しいですね。採用事業も、これだけ情報があふれているとわかりやすさが不可欠です。

社内スタッフは、アシスタントとディレクターとプロデューサーに別れており、プロデューサーになったら何をやってもいいことになっています。プロデューサーは現在、私も含めて3人いるのですが、年俸は自己宣言したとおり。出勤も完全フリーダムです。何をやってもいいのです。芝居を打っている人間もいますし、村作り町作りもしている人間もいます。
ですから、私自身も、他の二人のプロデューサーがどんなプロジェクトを進行中か、詳細には知らないのです。同じフロアにはいるのですが、プロデューサー会議は月に1回です。アシスタントとディレクターはいずれかのプロデューサーのアシスタントと位置付けられチームを組みますが、フリーエージェント制でチーム異動は自由に申し出ることができます。また、ひとりのプロデューサーは仕事仲間と別会社をおこし、兼務役員として活躍のフィールドを広げています。

今後はディレクターの頭数を増やしたいと思っています。いずれ独立してもらっても全然かまわないのですけど、弊社のものづくりのテーマを実戦している人を社内で熟成させて増やしていきたい。幼稚園の支援事業を大きくしたいとか、採用事業を拡大しようという目標ではなく、テーマに立脚したものづくりができるメンバーを増やしていきたいですね。

弊社は「個人の名前で仕事ができるように」各自にスキルアップをさせていますから、全社一丸となって何かひとつのサービスを広げたい！というよりは、各自がそれぞれの分野で一目置かれる「ものづくり人」に育っていってもらいたいと思っています。そのような人の集合として組織が維持できれば、社会的影響力のより大きなものづくりができると思うからです。

ただ、今年、ホンブロックという出版部門から「家族の練習問題」というシリーズ2冊目の本を出したので、この本をベストセラーにしようと、こちらは全社で取り組んでいます。書店との直接取り引きに挑戦しているので、営業の壁は厚いですが、応援してくれている書店さんも増えてきました。子供が産まれそうな人や20代〜30代の人に読んでほしい本です。

「リーダーズ・ワークショップ」という名前のワークショップも以前から行なっています。主任のモチベーションを上げたいという、幼稚園の課題から生まれたワークショップです。幼稚園では園長の下が主任なのですが、主任のモチベーションがなかなか上がらないシステム構造になっています。年俸がある程度で止まり、学ぶべき先輩もいなくなり、日々後輩に指導するだけで、子供に対しては悪い言い方をするとルーティーンなので、モチベーションが下がりがちです。そこに刺激を与えために、主任向けの研修会を定期的に行なっています。もっとも、現在は幼稚園や保育園の職員だけでなく、介護士や看護師、児童擁護施設職員や小学校の先生など、広くヒューマンサービスに従事する方が参加されています。

今課題に感じていることは、教育のサービス業化が進みすぎていく印象があることです。例えば幼稚園を選ぶ基準として、サービス内容だけでなく、教育もあるというところに気付いてもらう仕掛けをしたいと思っています。

落語家になりたいのですよ。私は落語が好きで、自分で寄席に参加したりもしています。夢としては、100席くらいのホールを一般客で満杯にできるようなスキルを身につけたいですね。
そして最期は、惜しい人を亡くしたなと言われたいですね。葬式は築地本願寺でパンパカパーンと、できれば生前葬をしたい。葬式にどれだけの人が来てくれるかは、いかに生きたかということのひとつの証明だと思うのです。昔、佐治敬三さんが亡くなられたときに、大阪の北御堂で行われた葬儀の参列者の行列が、御堂筋を500m以上、心斎橋付近まで延びていたんです。その光景に物凄いインパクトを受けて。だから葬式の列席者で800メートルくらいの列ができれば幸せです（笑）。