株式会社プランシパル

弊社の事業を大きく分けると、コンサルティング事業とテクノロジーソリューション事業の２つです。
コンサルティング事業は、ビジネスコンサルティングとシステムコンサルティングを融合した形になります。最も多い依頼内容はシステム化戦略やシステム化構想というITにまつわる上流の構想作りですね。
弊社の特徴は、もともとコンピュータの技術者であった者が販売、物流、会計などの業務のコンサルティングに従事していることです。通常のITコンサルタントは、コンピュータの技術にのみ詳しい人たちですが、我々の強みは、経営、業務、そしてシステムについて深く理解している点です。
弊社は現時点ではシステム開発はしておらず、戦略や構想を作った後、お客様に一番適したシステム開発のパートナーにバトンタッチし、全てお任せしています。５年先、10年先のシステム化構想を策定し、その後は開発ではなく、具現化した業務改革を行なっています。
また顧客のご要望によってはシステム開発プロジェクトにおけるPMO(プロジェクトマネージメントオフィス)の一員として顧客支援にあたることもあります。システム開発パートナーのアドバイザリーとして同じプロジェクトの一員となって実現化を目指すことも私どもの業務の一環です。

自社ソフトウェアパッケージの開発をしています。今回開発したパッケージは、携帯電話を利用した音声ブログシステムです。このシステムは昨年開催されたInterop 2007にて、Best of Show Award ベンチャー部門特別賞を受賞しました。この音声ブログシステムは、携帯電話で撮影した画像と録音された音声をインターネットのブログに瞬時に投稿できるリアルタイムな情報共有ツールです。
現在、このシステムは、主に建設業で使用されており、その他にも製造業と物流業から大きな引き合いがきています。弊社の音声ブログシステムの使い方として、たとえば、物流業界では荷物の破損時に、ドライバーがその破損の程度や情報をWebを介してセンターに知らせ、必要な場合は荷主にも同じＷＥＢ画面を通して状況を確認してもらい、荷物を戻すかそのまま届けるかの判断を仰ぐといったようなことを実現しようとしています。現在、数社の物流会社がこのシステムを検討しています。
また今後の成長領域として中国に着目し、すでに製品の７０％の中国語化が終わっています。現在は上海の代理店によってプロモーションが開始されており、損保会社による事故のエビデンスとして、あるいは雑誌、新聞社のニュース速報のとして、導入の検討をいただいております。

私自身、コンピュータの技術者だったのですが、アーサーアンダーセンという世界最大の会計事務所系コンサルティング会社に勤めておりました。
アーサーアンダーセンは、2001年に発覚したいわゆる「エンロン事件」で不幸にして解散を余儀なくされましたよね。数年たった今アンダーセンは無罪であったとの司法判断が下されたわけですが、当時はエンロン社の不正経理に関与していたというのが解散の理由でした。私見ですが、このような疑いを持たれたのはグローバルなコンサルティング会社の事情もあったと思います。つまり大手コンサルティングファームはさらにグローバル化しようと売上、利益、人員数を増やすことで成長をつづけようとしたのですが、それはファームの経営者たちにとっては常にプレッシャーでした。だからリスクをとってでも大きな監査報酬やコンサルティングフィーがもらえるクライアントに関与していったわけです。
これも私見ですが大きなコンサルティング会社の社会的な使命が終わろうとしていたのです。会計監査も同様で企業会計や経理業務が強くなってきた現在では、当時大蔵省によって作られた監査法人の役割が変わってきたように思えるわけです。現在は公認会計士ぐるみの不正会計、粉飾決算も多いですよね。
なぜならその会社から監査報酬をもらった会計士がチェックをしているからです。本当に公正な監査をしようと思ったら、中立独立な公務員や東証などによるチェック機能がなければ現在では機能しなくなっていると思っています。

コンサルタントや会計士が当初想定した役割は終わっていて、違う段階に入っているのですよ。本当にコンサルティングの原点に戻るには、大きい会社が大きいシステムを入れるのはＩＴのプロに任せ、本当に経営者に役立つような相談相手と頭脳になるような存在が必要なのです。そのような会社を作りたかったというのが、私の起業理由だったのです。 　私は日本のアーサーアンダーセンでは二十数人の共同経営者のうちの一人でした。また、フューチャーシステムコンサルティングの執行役員も約一年勤め、いわゆる大手企業の重役を若くして経験をしました。フューチャーを辞める時、他社の役員としてのオファーもいくつかあったのですが、いずれも制約があり、多分好きなことができないと思い、正直興味がもてませんでした。行きたい会社がなかったので起業しようと決めたのも理由の一つです。

音声ブログシステムは、弊社が具体的に自社製品を持った時にどのような結果をもたらすのかという１つの試金石です。将来、音声ブログとは違うプロダクト製品や代理店機能を持った場合、ビジネスコンサルティングからどのような連鎖ができるかを見るのにちょうどよいのです。
ビジネスコンサルティングの延長線上でもっと深い技術を融合させた方が弊社の特徴が出るのか、単体で違うビジネスを切り開いていった方がよいのか、それを判断するのにちょうどよい規模のモデルなのですね。その結果によって、今後の弊社の展開とともに成長戦略も見えてきます。止めるか、進むか、変えるか。今後は、その３つのうちのどれを選択するかで、弊社の成長戦略も決まっていくでしょうね。

バーチャルカンパニーを築きたいと考えています。バーチャルカンパニーとは、資本関係がなく、別の会社が協力し合い、１つのビジネスを行なう時に使われる言葉です。
私の考えているバーチャルカンパニーは、資本は１つで、経営責任はそれぞれの会社にあります。自分の会社の事業には責任を持ち、赤字になった場合は、その他の会社がバックアップする。しかし、赤字のままではいけないという厳しさがあります。
たとえば、それぞれの会社の社長は給料がゼロで、バーチャルカンパニーの上の持ち株会社から給料をもらいます。財布は１つなので、自分の会社がいくら儲けても他が儲けていないと自分の取り分は少なくなります。そうすると自分の会社を成立させないといけないという責任感が生まれますよね。そこで働く社員は、各々の会社から給料をもらいます。
そのような仕組みがあれば、自然と協力し合います。バーチャルカンパニーに参加しているメンバーはそれぞれの会社の社長。複数事業体で各々の会社は得意な分野で事業を行い、成立している。なおかつ、そこに全く違う業態の会社が協力しあって、１つの資本の中で動くことができれば面白いと思っています。これはコンサルティング会社のパートナーシップという経営形態と同じスタイルを違う形で具現化するというアイディアです。

　会社名にコンサルティングとつけなかったのは以上のような理由もあります。弊社にとって、コンサルティングはコアな事業ではありますが、それだけではなく、面白い事業があれば企業の中で育てていきたいと考えています。企業内企業として事業を成長させ、いずれは会社にする。それぞれの会社の社長は皆友達というのがいいですね（笑）。資本的にはリアルカンパニーで、中身はバーチャルカンパニー、そんな企業体系を築いていきたいです。
もう１つの企業目標はグローバルです。というより海外です。ずっとグローバルな仕事をしていたので、日本だけではやはり物足りなく感じます。グローバル企業とまでいかなくても、当たり前のように英語は話し、海外の仕事をしてくる集団がいれば、さらに我々の付加価値は高まると思っています。手始めに2010年に上海万博に向けての準備をはじめています。