平均年齢60歳。シルバーベンチャー企業が考える進化系ビジネスモデル。株式会社CSCの代表取締役社長 村田 榮一郎氏にインタビューしました。(取材日:2007-12-07/聞き手:高橋 礎)
通信サービス業を基本とし、通信モジュールの販売もやっています。CSCは、マシンコミュニケーションM2Mサービスを、「通信サービスと高機能通信モジュール」を適正価格でパートナー企業に提供することにより、国民の皆様が安心、安全、豊かな生活ができるユビキタス社会の創造に貢献することを経営理念としています。事業方針は、パートナー企業と一緒になって、新しい社会を作っていくことです。通信事業会社としての当社の特徴は、運輸、物流、自販機、テレメーター、子供の見守り端末等々の業界にMyAccessサービスというM2M専用の通信サービスを提供するところにあります。安い通信料金を実現するために、PHS通信事業者ウィルコムから基地局インフラを借りて、M2Mサービスに適した通信センターを自社で構築してサービスを提供しています。そうすることで、従来の通信事業者に比較して大幅に通信料金の引き下げが実現できたのです。もう一つの特徴は、ハイセキュリティーであるということです。M2M用端末の多くは情報処理能力が小さいマイクロコンピュータで構成されるため、通信ネットワーク自体に高いセキュリティー品質が要求されます。MyAccessサービスの通信インフラは公衆通信網、インターネット網を一切使わずに専用線網で構成されています。PHS通信の基地局はウィルコム設備を共用していますが、全く異なる通信プロトコルを採用しているためウィルコムの通信ネットワークとは完全に隔離したシステムとなっています。パートナ企業の団体である「クラブCSC」には、12月末時点で152社の企業が参画しています。パートナー企業が自社ブランドで商品を企画・販売し、CSCが月額定額料金で通信サービスをパートナ企業に提供しております。各パートナー企業は、それぞれの商品に合わせて、料金体系を設定しています。CSCはパートナ企業の商品に通信サービスを提供するインフラ企業であり、商品はパートナ企業のブランドで販売されるためCSCという名前はほとんど出ません。パートナー企業が商品を販売することによりCSCの通信事業は拡大されます、パートナー企業は当社の営業部門とも言えます。
松下電器産業に入社してからずっと通信を専門にやってきました。運輸物流業界で使用されているMCA無線システムは私が業界の責任者として構築したシステムであり、全国に移動無線センターができました。警察の最初のデジタル無線システムも私が中心となって、開発したシステムであり、電子通信学会より業績賞も頂きました。「何か新しいことで世の中に変化を与えたい。」その経験もあって、何かが起こるだろう事に対して、準備しておこうと思っておりました。松下にいた頃、携帯電話のサービスが開始され、携帯電話が大きく普及することが早期に予測されていました。携帯電話の普及と技術の高度化は予測を超えるものがあり、無線関連業界では急速に技術者が携帯電話事業にシフトされました。その結果、タクシー無線や警察無線を初めとする業務用無線に従事する技術者が大幅に減少されました。業界のリーダーであった松下通信ですらそうなのだから、他の会社だともっとすごいのだろうと思いました。そうなると携帯電話以外の産業はだめになってしまいます。CSCはこのような事業環境の中でユビキタス社会の重要なコンポーネントであるM2Mサービス事業を構築するために設立しました。松下電器産業に在職していた頃から、この構想はあったのですが、市場とのタイミングや自分自身の状況もあり、四年前くらいから本格的に調査に入りました。まず、基地局を貸してくれるキャリアの選定から始まりました、その結果当時のDDIポケットの会長さんが「面白い、やろうよ」といって一歩進みました。次に会社設立準備研究会を構成して業界、監督官庁等への説得等の準備を会社設立前に行いました。あとはパートナー探しだったのですが、比較的順調に進み設立当初の資本、一億円もすんなり集まり、起業に至りました。
パートナ企業の横のつながりを強化すると共に、ビジネスパートナーを増やしていくことです。設立当初のパートナー企業はベンチャー企業が中心でしたが、今は上場されているパートナ企業においても事業化検討が本格的に始まっております。大企業が動き出すと共に加入者の増大が予測されるため、来年度に向けて通信インフラの加入容量増加の設備改良を推進しております。新技術の開発にも取り組んでおり、来年度には皆様があっと驚くような新サービスを発表する予定です。
今年度は、売り上げが5〜6億円で、利益がプラマイゼロくらいです。来年度は20万台くらいの端末販売を予想しています。当面の目標は、社員一人あたりの売り上げを1億円までもっていくことです。今は社員十数名ですが、2010年3月期には、社員30名体制、売り上げ30億円、利益15%が出せ会社になる計画です。事業への想いとしては、OEM構造の既存のキャリアビジネスから脱皮し、メーカーなど頑張っている人たちに収益が落ちるような仕組みを成功させたいと思っています。日本の携帯電話の事業モデルのように、メーカーはキャリアから開発費等の支援を受けて、キャリアがすべて買い上げる。この構造だと、メーカーは一瞬ものすごく利益があがり、どんどん体質が良くなります。しかし、このままでは携帯電話メーカーの経営力が弱くなってしまいます。当社はパートナー企業が自ら企画、商品化し、自分で利益を出せるようにしていきたいと思っています。ですから、CSCはインフラ事業に徹して適正価格で通信サービスを提供していきます。個々の商品ではなく、このような事業モデルを完成させたいのです。そうすれば、IPOもできるし、その資本で世界に進出することもできます。パートナー企業の皆様が通信事業に参画し、実力で利益を上げることができれば、社会環境も良くなりますし、日本経済の活性化にもつながっていきます。このような事業モデルを完成させていくことが、自分に課せられた指名のような気がしています。
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