株式会社リバネス

主に、小学生から高校生までを対象とした科学教育事業を手掛けています。実験教室などを通じて子供達に科学の面白さを知ってもらい、将来の日本を背負う世代を育てていきたい、そんな想いを持ってこの事業をしています。具体的には、小・中学校、高校で理科実験教室を開催し、大学や研究機関、企業などで研究されている最先端の科学技術を、実験と講義を通して伝えます。わかりやすい講義をするのはもちろんのこと、使用する機材なども全て弊社が用意するため、学校に実験に必要な機材がなくても、先端科学の出前授業を提供できるのです。このように出前授業が出来るのも、社員全員が研究者という弊社ならではの強みを生かせている証拠です。

また、教育事業の実施には、常時50名程度の理工系の大学生・大学院生がインターン生として参画しています。彼らは研修を通してサイエンスコミュニケーターという資格を取得しながら、実験教室の企画段階から参加します。そして、教育事業サービスとしてのクオリティを審査した上で、私達とともに実際のサービスをお客様に提供しています。これは、私達の事業効率が上がるだけでなく、理系の学生が社会勉強できる機会としても位置づけることが出来ます。つまり、この事業で理系学生の教育も出来ているということです。さらに、本の出版にも力を入れています。皆研究者ということもあり、論文の執筆には慣れているため、興味のあることをどんどん書いてきます。研究者が面白いと思ったことまとめて、学校の授業など、実際の教育現場でも使用して頂けるような本に編集し、出版しています。
この教育ビジネスが大きな収益を上げられるかと言えば、たかが知れています。だからこそ、私達自身、この仕事を完全な社会貢献活動として位置づけています。現在働いている３３名の社員ひとりひとりが、コミュ二ティを創出できる会社、地域に根差した会社を目指していこうと考えています。そのような社会貢献意識の高い企業を目指していくことで、同時に会社を成長させていきたいと思っています。

昨年11月に宇宙航空研究開発機構（JAXA）が公募した、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」の有償利用の公募制度を利用し、植物の種子を「きぼう」で保管・回収し、学校での教育に利用する「宇宙教育プロジェクト」を展開します。これは民間企業としては、ロッテと並んで初の試みです。

シロイヌナズナとミヤコグサという植物の種をに打ち上げ、来年2009年3月の宇宙飛行士の帰還とともに回収します。この「宇宙種」を用いて、日本全国の中学や高校で宇宙種にどのような変化が起こったかを検証する実験を行うというものです。学校という場で育まれる生命に関する関心が、宇宙へと連なっていくことで、より多くの人が宇宙へと目を向けるきっかけにしたいと考えています。

私が大学院修士課程の時に、「自分達が研究しているものを伝えることで何か世の中の役に立てないか」、そんな思いから事業が始まりました。理科離れが問題視されている現在の日本教育を鑑みて、自分達が研究している最先端の科学を知ってもらおうことがきっかけとなって、子供達に科学分野への興味を持ってもらえたらと考えたんです。最初は１５人でこの事業を開始しました。私を含め全員が学生や研究者だったので、営業は大変苦労しましたが、それぞれの恩師をはじめ多くの方々にご協力をいただき、おかげ様で現在まで事業を継続することが出来ています。

現在、日本の教育において、子供の理科離れが叫ばれています。理系の科目は、複雑で難しいと思っている子供がたくさんいるのです。しかし、身近な体験をきっかけに、物理的な現象、自然の真理の仕組みを知ることが出来た時の喜びは、本来誰もが味わえるものだと考えています。そんな知的興奮を体感し、理系の授業をもっと好きになってもらいたい、そんな願いを込めてこの事業をやっていきたいと思っています。

また、今までのビジネスモデルというのは、搾取、競争型のものが主流でした。しかしながら、これからの時代に持続可能な事業発展を遂げていくためには、誰も損をしない、事業に関わる人全員が利益を得るようなビジネスモデルにしていかなければなりません。そういった事業モデルを確立するためには、やはり、社会に貢献するという意識をもって仕事をすることが必要ではないかと考えています。ＣＳＲを常に念頭においた会社に育てていきたいですね。