有限会社KEE’S

弊社の事業はアナウンサーが、企業でビジネススピーチやプレゼンテーション、コミュニケーションの研修を行う企業研修部門を主体に、弊社の青山校に通学して頂くスクール部門（社会人コース、大学生のアナウンス受験コース）があります。さらに企業とタイアップして子供達に話し方やコミュニケーションを教える「KEE'S KIDS」というイベント型の企画も提案しています。これらを教える講師は皆、現役アナウンサーです。話す力はスポーツと同様にやらなければ鈍ります。ですから、私たちも企業運営を本職としながら、現場感覚を失わないために少しでもいいので現役アナとしての仕事を続けながら教育に携わり、より良い話し方を教えられるよう努力しています。

弊社は元々私を含めた3人で立ち上げたのですが、「子供達に話し方を教えられたら素敵だね」という発想からスタートしました。話し方やコミュニケーション能力は持って生まれた才能だと思われていて、特にアナウンサーになる人はそれらの才能が秀でている人たちだと見なされていますが、実際には人前で話すことが苦手な人が多いんです。私もそうなのですが、苦手な部分を克服したいと思いアナウンス学校に通い始め、人生が変わっていきました。つまるところ、話す能力は正しい方法を身に付けて、毎日練習を積み重ねる努力した者ならば誰でも上達する一種のスキルということです。

しかし、このような考え方は日本にはありません。一方、欧米では幼稚園から“show and tell”という授業で、毎日変わりばんこに自分のお気に入りのモノを持ってきてクラスの友達に紹介するというクラスがあります。また、小学校に上がればディベートやディスカッションする機会が増えます。このように子供の頃から人前で話す経験を積んできているし、自分の考えを人に伝える能力に長けており、自己主張しなければコミュニケーションが成り立ちません。

日本ではこのような教育が為されていないために、自己主張が苦手で自分の思いを表現できない子供が増えてきています。私たちはこの事業を通じて、そういう子供たちに自己主張や豊かな表現力を身に付けてもらい、言葉は表現であることを学んでもらいたいと思っています。

私の前職はNHKキャスターです。表現することが大好きだったので、ずっとそちらに携わっていくと思っていました。ですので、元から企業経営に興味があったわけではありません。やりたいことが根本にあり、それを実現するためには会社を作らなければならなかったのです。

表現者としての仕事をしながら感じていたことは、日本では「話し方」というスキルがあることがほとんど認知されていないことです。しかし、話し方は人生を変えてしまうほど重要なものです。私もそうなのですが、正しい話し方を身に付けて人生が変わっていくことを経験し、自分なりにスキルを磨いて人生を切り開いてきました。そのノウハウを体系立てることで、誰でも話し方がうまくなるというプログラムが出来れば、非常に分かりやすいし短期間で習得してもらえ、多くの人の人生を豊かにできるのではないかと思ったことがきっかけです。

起業してから現在に至るまで、さまざまな苦労がありました。特に経営者が全員アナウンサーで、話すことを主体としてやってきていたので、会社を立ち上げてからの登記や税金のことや経理のことを始めから学ばなければなりませんでした。そんな時、法務関係や会計周りを専門家に助けてもらったり、経営者の方からご指導して頂いたりと、周りの方々に支えながらやってきました。こういったご恩は、絶対に忘れず返していきたいと思っています。

今ある事業の3本柱を太くしていくことです。その中でも今後は外資系企業の増加に伴いプレゼン能力が問われるようになってきているので、ビジネスマンからの研修やスクールへのニーズが高まっていくことが予想されます。それなので、生徒数が増えた時にそれを受け入れるだけの基盤をしっかりと作っておく必要があります。

＜成長戦略＞でも話した通り、話し方やコミュニケーション能力習得へのニーズが増えてきた時に受け入れ態勢が甘いようではいけないので、人数が増えてきても現役アナウンサーが教えていけるような体制作りができているようにします。アナウンサーが社員スクールを開いたのは弊社が初ですし、そのノウハウも持っているので、そうした強みを活かした基盤づくりを行っていきたいと考えております。

日本人に、もっと「開放的に生き生きと」話して頂きたいということです。
エグゼクティブコースではスピーチが苦手な社長へ話し方を教えています。彼らは人前に出る回数が多いですが、話すのが苦手で苦痛に感じている人がいます。これは非常に気の毒なことです。正しい話し方を教え、スキルを覚えれば話すことへの自信が付き、人前で話すことが嫌だと感じる人が減っていきます。このように一人一人がもっと話すことを好きになってもらえるような教育を提供していきたいと思っています。

また、若者には最低限のマナーとしての発音やコミュニケーション能力を身に付けて欲しいと思っています。心配なのは、「コミュニケーション省エネ」 な若者が多いことです。海外に旅行に行けば、街中で全く知らないからも“hello”と挨拶してきます。このような人との触れ合いが喜びになり、楽しさに繋がります。日本でもたとえば「Always3丁目の夕日」の時代には見られた光景なのですが、残念ながら今ではすっかり消えてしまいました。社会に出たら人との繋がりは大事ですし、相手の立場に立った、聞き取りやすく感じの良い伝え方やコミュニケーション能力を身に付けてほしいなと思います。